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一人医師医療法人

この医療法人制度は、かなり古く昭和62年の医療法の改正により認められた制度です。それまでは、医療法人の設立には、常勤の医師の人数制限がありました。3名以上の医師又は歯科医師が常勤していることが要件でした。すなわち、一人では設立できなかった。

しかし、この改正により一人医師、個人開業の医師の方々にも医療法人化が認められるようになりました。なお、一人医師法人は、一人の医師のみに限定されません。一人又は二人で設立することができます。医療法人の大多数がこの一人医師法人です。

▼一人医師医療法人と他の医療法人との違い ▼ 一人医師法人のメリット・デメリット 
▼一人医師医療法人種類・設立の流れ ▼設立認可申請書類について
▼当事務所のかかわり

一人医師医療法人と他の医療法人との違い

医療法において、一人医師医療法人を特別に規定している条項はありません。すなわち、法律上では一人医師医療法人と他の医療法人とは同じ存在・同じ意味を有しています。違いとしては、常勤の勤務医が一人又は二人であることのみです。
一人医師医療法人と一般的な医療法人の違いをまとめると下記のようになります

上記のように、一人医師医療法人と医療法人とは全く異なる点がございません。
個人経営の診療所が医療法人に変化すると、税制上のメリットが発生します。

一人医師法人のメリット・デメリット

個人開業の診療所から医療法人に転換することによるメリットがあります。もちろん良い側面だけで無く、デメリットもあります。


収支の区別
診療所のお財布と、医師個人としてのお財布を分けることができます。すなわち、医療法人は、医師個人とは別の独立した人格を有する事になります。事業から生じた権利義務(金銭含む)は、全て医療法人に帰属することになります。

税務上の節税
個人では、所得が高くなるにつれて税率も上がります(累進課税)。法人となれば、法人税が適用になれば税率も下がり節税効果も期待できます。医師の給料は、法人から支払われることになり、所得が分散されることになります。必要経費についても認められますが、上限があります。1億円では400万円まで損金となります。退職金も認められます。

業務の拡大
個人開業の場合は、診療所を1ヵ所のみしか運営することができません。医療法人となれば、診療所(病院)を複数ヵ所運営することが可能です。それ以外に有料老人ホームなどの運営も可能となります。

事業の永続性
個人開業の診療所では、個人の死亡などによって、自動的に廃止されます。法人は、理事長などに事故があっても、他の者を選任することで継続することができます。


手続きの煩雑
個人開業の場合は、診療所開設の届出をするのみです。医療法人になると都道府県知事に対する許認可申請を行う必要があります。それ以外に、登記、決算を行う為の書類の作成・提出を行うことが必須となります。このように事務作業が煩雑となります。

配当の不可
医療法人は、医療法の規定により配当を行うことができません。特に個人開業の場合は、配当は自由に認められるので、この点は大きなデメリットといえます。

税務上のデメリット
医療法人を設立することによって、税制上の恩恵がある事は事実です。ただし、収入が一定以下の場合は、法人となる事で逆に税務上の負担が増えます。また交際費に限度額が生じます。

一人医師医療法人種類・設立の流れ

一人医師医療法人も医療法人であることから、医療法の定める手続きにより許認可申請を行う必要があります。医療法人を設立するには、都道府県知事の認可が必要です(医療法44条1項)。また、医療法人の設立受付けは年に2回しかありません。すなわち、いつでも設立したい時期に設立することは不可能です。

一人医師医療法人の設立に際して提出する書類は多岐にわたります。また、定款又は寄附行為を作成する事(法定記載要件があります)、厚生労働省が定めている構造基準、人員配置基準(省令)をクリアする必要もあります。事前の準備が不可欠となります。

医療法人には、大きくわけて2種類あります。財団医療法人と社団医療法人です。

一人医師医療法人の設立を行う場合は、いきなり申請を行うのではなく、事前審査・事後審査が行われるのが一般的です。場合によっては、院長などに対しての面談が開催される場合もあります。慎重な手続きにより審査が行われます。大まかな流れは下記の通りです。都道府県により若干異なる場合もあります。

※申請書の提出から認可までは、6か月の時間が必要となります。
※申請書の提出する機関は決まっています。年2回です。いつでも申請出来ないので注意が必要。

設立認可申請書類について

当事務所のかかわり

医療法人に変換する場合には、許認可申請が必要です。これに伴う提出書類の数は相当数になります。また、許認可申請は、行政書士資格が無い者が行うことはできません。行政書士登録を行っていない税理士の先生も行うことはできません。
当事務所は、許認可申請を入口として、資金調達、事業承継に至るまで質の高い総合医療法務サービスを提供しています。

また、医療法人が活動するにおいて、活動資金が必要となります。短期目的による資金調達、長期目的による資金調達(診療所の設備など)の手法もご提案しています。戦略M&A(提携含む)に関する助言も行っており、設立後に関する事項も取扱っています。
⇒医療機関の資金調達の詳細はコチラ
⇒医療機関のM&Aの詳細はコチラ

設立段階から、設立後を見据えたリーガルサービスを提供できる数少ない事務所です。診療所経営、医療法人への移行、資金調達など医療機関が抱える問題について迅速に対応致します。まずは、お気軽にご相談ください。

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