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経過措置型医療法人

【経過措置型医療法人とは】
経過措置型医療法人とは、平成19年4月1日以前に設立された持分のある医療法人です。 ここでの「持分」とは、@財産の払戻し請求権があること、A残余財産の請求権を有していることです。現在では持分の定めのある医療法人を設立することはできません。

医療法の改正前に設立された持分のある社団医療法人は、当面この経過型医療法人として存続することになります。すなわち、改正医療法44条4項は適用されません。現在の医療法人の大多数は、この経過措置型医療法人です。

【後戻りができない】

経過措置型医療法人が、残余財産の帰属に関する定款などの記載を変更し認可申請を行った場合で、医療法50条1項の認可を得た、すなわち、経過措置型医療法人では無くなったときは、再び経過措置型医療法人に戻ることはできません。図T参照。

ただし、医療法人が合併など行った場合にいずれも経過措置型医療法人である場合には、合併後も経過措置型医療法人となることができます(医療法施行規則35条2項)。図U参照。

今後に生じる問題

経過措置型医療法人は、持分があります。この持分があることによって大きな問題が生じる可能性があります。持分の払戻し問題です。相続・医療機関M&A(合併・買収)などにより、持分を払戻す場合にトラブルが生じています。特にかなり昔に設立して、現在の価値が大きくなっている医療法人・医療機関の場合には、さらに注意が必要となります。

持分のある社団医療法人の払戻し問題について具体的な内容はコチラです。

この医療法人の持分払戻し問題は、裁判で何件も争われています。設立当初より現在価値が上昇していることにより、出資当時より多額の払戻し金が得られることになるので、争いも生じます。現在の医療法人としては、あまりに多額の払戻しを行えば、医療法人の存続自体を危うくする危険があります。払戻しを受ける側からすると、1円でも多くの払戻しを得たいと思います。両者の主張は真っ向から対立することになります。

早目に何らかの対策を講じる必要があります。裁判所の大勢の考え方からすると、多額の払戻しを行わざるを得ない可能性があります。対策としては、出資限度額法人に移行しておくことも有効な対策の1つです。医療法人の存続を考えるなら、しっかりとした対応策を導入するべきです。待ったなしであることを認識することが対策のスタートです。
出資限度額法人の詳細はコチラです

存続期間(経過期間)について

経過措置型医療法人がいつまで存続するか(経過期間)について、厚生労働省は具体的な時期を明示していません。数年毎に医療法が改正(見直し)されています。次回の医療法改正に併せて、経過措置型医療法人について撤廃するとも言われています。医療法人の非営利性を徹底するために、持分ある社団医療法人の持分について消滅させたいとの思惑があります。

もっとも、医療法人の総数に占める経過措置型医療法人(平成19年以前に設立された持分ある社団医療法人)が90%以上となっています。 一気に撤廃すると大きな混乱が生じる可能性は大です。このような観点から、持分ある社団医療法人は「経過措置型医療法人」として存続し続ける事になるとの見方が大勢です。

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