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国際相続とは

はじめに
日本人家族の場合は、当然に日本民法の相続に関する条項が適用されます。これに対して、外国の方と結婚した夫婦にとって相続問題も一筋縄では進みません。日本民法の相続に関する条項がそのまま適用されるわけではありません。

この場合においては、相続に関して適用される法律を決定する必要があります。法の適用に関する通則法(通則法)36条が定めています。ただ、具体的な事項については、国際私法では規定していないので、個別的な考察が必要となります。

▼ 相続における準拠法の重要性 ▼ 相続財産の移転 
▼ 拠法の適用範囲 ▼ 結びにかえて

相続における準拠法の重要性

相続において準拠法を決定する事はとても重要です。国によって法定相続分に関する規定が異なっている場合があります。どの国の法律が適用されるかによって結論(相続分)が異なる可能性があります。 相続に関する準拠法は、被相続人の本国法です。これは、相続財産の所在地に関係なく、また、相続財産が動産であるか不動産であるかに関係なく、相続に関する事柄は全て被相続人の本国法によって判断されます

これに対して、動産・不動産を区別して判断する国もあります。このような考え方を採用すれば、相続財産が動産であるか不動産であるかによって準拠法が異なり、不動産が複数であり所在地が異なれば、それぞれの準拠法が異なり、相続問題が更に複雑になります。

相続財産の移転

相続財産の移転の仕方においても相続の準拠法によって判断されます。ここでは国により相続財産の移転に関する考え方が異なる点に注意が必要です。日本民法においては、一身専属的なものを除いて、被相続人の全ての権利義務が相続人に承継されます(民法896条)。債務(負債・借金など)も相続人に承継されます。

これに対して、アメリカ合衆国などは異なります。被相続人から相続人に相続財産が直接移転することはありません。まず、遺言執行者(executor)、遺産管理人(administrator)に帰属します。これらの者により清算が行われた結果、残余財産がある場合にのみ相続人に財産が移転します。この考え方では、債務が多かった場合、相続人は債務を承継することはありません。

準拠法の適用範囲

通則法36条の対象となる範囲は、相続に関する承継一般に適用されます。すなわち、相続の原因、時期、相続人となる者の範囲、相続人の相続能力、相続順位、相続欠格事由、相続人の廃除、承認、放棄、遺留分などに及ぶことになります。すなわち、一般的な相続問題に関係する事項において及ぶと言えます。

結びにかえて

日本人同士においても相続問題は複雑となります。骨肉の争いになり、まさに争続になってしまいます。これに国際的な法適用の問題が重なれば、複雑度合いは増すことは想像するに難しくありません。法の適用から慎重に検討する必要があります。争いを避けるためにも早い段階から状況を把握することが大切と言えます。

当事務所は、国際法務(渉外法務)に積極的に取り組んでいます。特に国際的な身分関係法務に対して力を入れています。相続のみならず在留資格家族法に関する問題はお気軽にご相談ください。全力でサポート致します。

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